日本大学大学院知的財産研究科

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教員インタビュー

渡辺 稔 教授(以下 渡 辺)
知的財産研究科の渡辺です。今日は、知的財産研究科の専任教授のお一人である、土肥先生にお話を伺います。土肥先生、今日はお忙しいところありがとうございます。早速ですが、先生が知的財産権の研究を志されたいきさつからお伺いします。
土肥 一史 教授(以下 土 肥)
私の大学時代、この分野はまだ工業所有権と呼ばれており、珍しい学問領域でした。 私が卒業した大学にも、この領域の講義はなかったのです。しかしゼミの先生が新しい学問に興味を持たれる方で、ゼミでの報告のテーマを「特許ライセンス契約」にしてはどうかとのお勧めがあり、これがきっかけになりました。しかしその当時、すでに日大では永田菊四郎先生の工業所有権の講義が設けられていました。日大はこの分野でもパイオニアです。
そのまま教員として大学に残り、知的財産の研究を行いました。
しかし、当時は周りにこの分野の先生が少なかったので、ドイツのマックスプランク国際知的財産法研究所という研究所へ行き、2年半ほど研究員として研究を行いました。それが現在に繋がっています。これまでいろいろな研究をしてきましたが、現在の研究テーマは「財産的情報の保護と利用の適正なバランス」です。
渡 辺
そのテーマについて、学生にもわかるようにご説明をお願いします。
土 肥
たとえば、最近はキンドルとかiPadというようなものが出てきて、電子書籍として読まれています。そして、自分の書籍をPDFファイル化して入力することになります。個人が自分で読むためにPDF化することは、著作権法で認められていますが、この作業に技術が必要とされることもあり、代行業者(自炊業者とも呼ばれる)に依頼する場合があります。
しかし、代行業者が行う場合は著作権の権利が害されるのではないかと言われています。この場合に、著作権の保護と利用者の利便性とのバランス上、どのあたりに線を引くかという問題は、ひとつの例だと思います。
渡 辺
その例はわかりやすいですね。次に教育面でのお話をお伺いします。知的財産研究科では、法律・科学技術・ビジネスの融合を目指した教育を行うため、3つの分野で12名の専任教員と6名の兼担教員、12名の非常勤教員を揃えて、知財の専門家としての能力と、知財マネージメント能力の両方を育成するカリキュラムになっていますが、先生は具体的にはどのように講義をされておられますか。
土 肥
私は法解釈を中心に、商標法・意匠法・著作権法・不正競争防止法の講義を 行っていますが、実務も重要であると認識しており、商標やデザイン、ブランド戦略を重視している企業を訪問して、学生とその企業の知財スタッフとの間で意見交換をさせています。また、特許庁では審判制度という制度があり、そこでの口頭審理は公開されていますので、商標に関する審判の口頭審理を傍聴しています。そこでの請求人と被請求人のやりとりを聞くことは、学生たちの刺激になるようで、傍聴の後は様々な意見を活発に出してくれます。
渡 辺
先生は長年、教育に携わってこられましたが、学生にはどんな印象を持たれていますか?
土 肥
学生には限りませんが、人に信頼される人物が、様々な面でいろいろなチャンスに恵まれるという傾向があります。本学の学生もそういう学生がいますし、更に加えて良く勉強するので、将来を楽しみにしています。高度専門家として、知財分野で活躍してくれることを期待しています。
渡 辺
土肥先生は、学外でもご活躍で、政府の委員会で知的財産権関係の法改正にも携わってこられましたが、どのような方針で改正に係わってこられたか。また今後の方向についてお伺い致します。
土 肥
知財の保護はかなり充実してきましたが、まだ足りない部分があります。たとえば営業秘密の保護が不十分だったので、ここ十年の間に保護をかなり強化しました。また、知的財産の分野で町興し、地域興しは従来あまり考えられていなかったわけですが、地域団体商標という制度を新設した結果、すでに500件近くの登録が行われました。 このことから、この制度はそれぞれの地域の町興し、村興しに貢献できていると思います。このような法改正は今後も必要と考えています。

加えて、商標制度のガラパゴス化ということがないように、国際化を進めなければならないと思います。現在、TPPと呼ばれる多国間貿易協定の交渉参加が検討されていますが、これが始まれば、どうしても知財制度の突き合わせが行われることになります。そのとき、日本の得意な部分について、日本が合理的であれば、そのことをきちんと主張しないといけませんし、外国の方が正しいのであれば、日本の制度を見直す必要があります。つまりこれからも、知財制度の国際化ということが必要と思われますので、このようなことに係わっていきたいと考えています。
渡 辺
先生は、これらのご貢献により2010年には知財功労賞の経済産業大臣賞も受賞されておられますが、今後また更にお忙しくなりますね。今日はありがとうございました。

専門職大学院として、知的財産(知財)のプロを育てるのが本学の目指すところです。

それも弁理士など知財実務のプロと、知財知識を持って経営や技術開発に当たるマネジメント人材の2つの方向性を志向しています。卒業生の就職先は、特許事務所や企業の知財部・法務部、行政機関等、さまざま。修了生や修了生が活躍する企業からは、「知財の知識がブランド戦略立案に役立った」「業務への理解が早い」等、評価の声をいただいています。

またそのような活躍を目指すために、実務家の教員が多いのも本学の特徴の一つ。私も特許庁での実務経験がありますが、企業の法務・知財実務経験者等も多く、理論と実務を関連付け、実践的な指導を行っています。

私たちが明確な方向性を示しているのと同様に、しっかりとした目的意識を持つ学生が集まっているのが本学です。日本大学は「自主創造」を教育理念として掲げていますが、その名にふさわしく、自分で考え、学び、切り拓こうとする人材が多く、またそうあってほしいと私たちも指導に当たっています。 加えて、本学は国内でも数少ない知的財産修士が得られる専門職大学院であり、法学部を基礎として設立された唯一の法文系大学院です。

知財人材に必要なリーガルマインド(法律)・サイエンスマインド(科学技術)・ビジネスマインド(経営)を修得していく中で、特にリーガルマインドに強い人材を育成することも特徴的で、これが各現場からの評価にも繋がっています。

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